バレエ『くるみ割り人形』は、『白鳥の湖』『眠れる森の美女』に並ぶ、チャイコフスキー三大バレエのひとつです。
クリスマスのお話なので特に年末頃に好まれてよく上演され、重い悲劇的な展開がないことや上演時間が比較的短いことからも、バレエ初心者の方やお子様にも入りやすい作品となっています。
舞台や発表会を観に行くことが決まったら、ぜひ先にストーリーや見どころをチェックしておきましょう!
今日はクリスマスイブ。少女クララのおうちで、楽しいクリスマスパーティを開催しています。
クララは参加者のドロッセルマイヤーからくるみ割り人形をもらい、とても気に入るのですが、兄のフリッツがそれをからかい、人形を壊してしまいます。
その夜クララは夢を見ます。なんとネズミの大群と、自分のくるみ割り人形が率いるおもちゃの兵隊軍が戦っているではありませんか。
クララは自分のスリッパを投げてネズミの大群を追い払うと、くるみ割り人形は魔法が解け、素敵な王子様に姿を変えます。
そしてクララにお礼をするために、雪の国の向こうにあるお菓子の国に連れて行ってくれるというのです。
お菓子の国に着くと女王である金平糖の精が歓迎してくれて、たくさんの華やかな踊りが登場する宴が始まります。
そこでクララは、夢のようなひとときを過ごすのでした。
この記事では、『くるみ割り人形』のあらすじや見どころについて詳しくご紹介していきます!
【第一幕】
クリスマスイブの夜、主人公である少女クララのおうちに、クリスマスパーティに招かれた親子が続々と集まります。雪で遊んだり、おしゃべりをしたり。招かれたお客さんたちは、みんな楽しそうです。
そしてパーティでみんなが楽しく踊っているところへ、父の友人で人形師であるドロッセルマイヤーが登場します。
ドロッセルマイヤーの人形遊びに、子どもたちは大盛り上がり。そしてドロッセルマイヤーからそれぞれクリスマスプレゼントが贈られ、クララはくるみ割り人形をもらいます。
クララはこのくるみ割り人形をたいそう気に入るのですが、兄のフリッツには変な人形だとからかわれ、しまいには壊されてしまいます。クララはとても悲しみますが、パーティはそこでお開きになり、楽しいパーティもそこで終了です。
その夜。クララはなかなか寝付けず、ひとり人形が残された居間へとやってきます。
やがて時計が12時を指すとクララの体が縮み、ネズミの大群が押し寄せてきます。そこにくるみ割り人形が率いる兵隊軍もやってきて、兵隊とネズミたちの戦争が始まってしまいます。
ネズミの王様は強力で、くるみ割り人形は負けそうです。クララが勇気を出してスリッパを投げつけたところ、ネズミの王様に直撃し、ネズミの大群を追い払うことができました。
するとくるみ割り人形は魔法が解けて、美しい王子様へと姿を変えます。
そして自分を救ってくれたお礼をするため、雪の国の向こうにあるお菓子の国へと、クララを招待するのでした。
第一幕で、本作品唯一の敵キャラであるネズミの大群が登場します。敵ではありますが、正直他作品の敵と比べても非常に可愛いものです(笑)ネズミたちと兵隊たちの動きの対比にもご注目。
そして雪の国の場面では、バレエには珍しく、合唱の入ったクラシック音楽が使われます。合唱組曲としても知られている音楽なのです。
【第二幕】
とても幻想的な雪の国を抜けると、お菓子の国に到着します。そこでは女王である金平糖の精がクララを出迎えてくれて、さまざまな国の踊りでクララを歓迎してくれます。
宴で登場する踊りは、スペインの踊り(チョコレート)、アラビアの踊り(コーヒー)、中国の踊り(お茶)、ロシアの踊り(トレパーク)。そして葦笛の踊りに、花のワルツです。
最後は、金平糖の精と王子様のグランパドドゥ。クララは時間を忘れ、宴を楽しみます。
クララがふと気が付くと、そこは自宅の大広間。いつの間にか、ツリーのもとで眠ってしまっていたようです。幻想的な宴の時間は、すべてクララの夢だったのでした。
近くにくるみ割り人形を見つけると、クララはそれを大切に抱きしめます。そして朝陽と共に、夢のようなひとときをかみしめるのでした。
金平糖の精=クララのパターンも!
上記ではクララが金平糖の精に歓迎されるというあらすじを紹介しましたが、そうではなく、クララ自身が金平糖の精に変身して王子様と踊る、というパターンもあります。
いずれにしても、クララはお菓子の国で夢いっぱいの楽しいひと時を過ごすのです。
「金平糖」と訳されたお菓子の正体は「ドラジェ」
日本語に訳されるときに「金平糖の精」となった役ですが、実はフランス語をそのまま訳すと「ドラジェの精」。
ドラジェというのは、砂糖ペーストでアーモンドをコーティングしたお菓子のことです。 日本ではチョコレートをコーティングしたものをドラジェと呼ぶこともあります。
フランス語で「幸運の種」という意味もある、とても可愛らしいお菓子なんです。
オペラとバレエのコラボ公演も!
前述した通り、第1幕の「雪の国」の場面では、合唱が入ったクラシック音楽が使われます。数多くあるバレエ演目の中でも非常に珍しいです。
そのため、オペラとバレエのコラボ公演なども開催されているんですよ。
◆1997年連載開始 マンガ「トウ・シューズ」/りぼん
本作の主人公の名前は、「くるみ」。「くるみ割り人形」を観に行ってバレエに魅せられ、バレエを始めるというストーリーです。憧れの役は、やっぱり金平糖の精!
5巻完結で絵柄も可愛くとても読みやすいので、興味のある方はぜひ!
◆2018年公開 映画「くるみ割り人形と秘密の王国」
バレエ「くるみ割り人形」は華やかでハッピーな作品ですが、この映画はそれだけではありません。ダーク要素を織り交ぜ、映画として見応えがある内容に仕上がっています。
「金平糖の精の踊り」の音楽などが、とてもダークなアレンジを加えられて登場します。目が離せなくなるストーリーはもちろん、音楽も注意して聴いてみてほしい映画です。